【徹底比較ーED治療の方法】治療内容ごとの費用、自力で解決する難しさを紹介

EDは、性生活を営む男性にとって治療が必要な病気です。現在、EDの治療方法として最もポピュラーなのは、ED治療薬による薬物療法です。しかし、そのほかにも多くの治療方法があります。この記事では、ED治療の方法や費用、注意点などをそれぞれ詳しく解説します。

ED治療の方法一覧

EDとは「勃起障害」のことです。勃起が完全に起こらなくなるケースだけでなく、満足な性行為に必要な硬さや持続性のある勃起ができなくなるケースも、EDの一種とされています。

EDは相談しにくい病気のため、人知れず悩んでいる方も多いのが現状です。年齢を重ねると発症するというイメージを持つ方が多いですが、実は20代から30代でも20人に1人は深刻なEDに悩んでいるとの報告もあります。

EDを発症すると単に性行為ができなくなるだけではありません。異性との交際に消極的になったり、不妊に陥ったり、夫婦関係にヒビが入ったりと、日常生活に支障をきたしたり、大切なライフステージに暗い影響を与える可能性も考えられます。また、男性としての自信が失われることで自己肯定感が持てなかったり、気分が落ち込みがちになったりする方も多いです。

現在ではインターネットの発達や専門医院が増えたことで、EDを積極的に治療する方が増えています。EDの対策としてどのような治療が行われているのか比較してみましょう。

ED治療薬の使用

EDに対する治療として、最も一般的に行われているのが「ED治療薬」を用いた薬物療法です。「ED治療薬」とは薬の作用で勃起を促して、EDを改善するための薬です。では、どんな種類の治療薬があるか確認しましょう。

日本国内では、世界初のED治療薬であるバイアグラの製造・販売が1999年から始まり、現在ではレビトラ、シアリスといった有効成分の異なるED治療薬も広く使用されています。

これらは有効成分が異なりますが、根本的な作用は同じです。陰茎の血管を広げる作用を持ち、陰茎への血流を増やすことで効果を発揮しますが、ED治療薬は性的な興奮を感じなければ効果を発揮することはありません。服用しただけで強制的に勃起が引き起こされるわけではないので、性欲減退などの精神的な原因でEDを発症している方は十分な効果を得られないこともあります。

また、ED治療薬は狭心症の薬など一部の薬剤と飲み合わせると、効果が強くなりすぎて思わぬ副作用を招くこともあります。副作用によって死亡したケースも報告されているため、飲み合わせの悪い薬を常用している方はED治療薬を使用することはできません。

クリニックに行かずに、市販や通販のジェネリック治療薬を使用する方もいますが、粗悪なものや副作用がひどいものもあります。しっかりと確認した上で使用するようにしましょう。

モアノヴァ（医療機器による衝撃派ED治療）

モアノヴァは、陰茎に特殊な衝撃波を当てることで、陰茎に刺激を与える治療です。特殊な刺激が加わることで、陰茎の海綿体に新たな血管の生まれる効果があるとされています。勃起は陰茎海綿体に血液が充満することによって起こる現象です。治療を続けることで、陰茎の海綿体に血液を送り込む血管が増えるため自然な勃起を可能にします。

「衝撃波」を当てると言っても痛みなどはほとんどなく、一回の治療も15分ほどで終了します。モアノヴァは一回で終わりではなく、複数回続ける必要がありますが、EDを根本的に改善する治療法として人気です。 

プロステーシス

プロステーシスとはシリコン製の棒のことです。自在に曲げ伸ばしできたり、外部から水を注入することで伸縮させたりすることができます。

EDに対しては、プロステーシスを陰茎の海綿体に埋め込むことで、人工的な勃起を促進する治療です。しかし、2007年以降は日本で流通していたプロステーシスのモデルチェンジが行われた影響で、入手がむずかしくなっています。

プロステーシスの埋め込み治療を行った男性とそのパートナーに対する調査によれば、満足度は75%から90％というデータもあります。性行為を充実させる高い効果の期待できる治療法ですが、現在のところ日本で行われるのは稀なケースというのが実情です。

漢方

EDに対しては、漢方薬を用いることもあります。漢方薬は、問題となっている症状や病気の原因となる「体質」を改善することで、問題を解決していく薬です。ED治療に用いる漢方薬も、ED治療薬のように直接的に勃起を促す効果はありません。EDの原因となる体質を改善することで、結果としてEDを改善させるために使用されます。

EDに効果があるとされる漢方薬は、

• 八味丸
• 桂枝加竜骨牡蠣湯
• 人参湯
• 補中益気湯
• 小建中湯
• 黄耆建中湯

などがあげられます。

それぞれ、下半身の血行を改善したり、体力を回復させたりとED治療に効果的です。体質や症状によって使用される漢方薬の種類が異なりますので、医師との細かいコミュニケーションが必要です。効果の現れ方は個人差が大きいため、効かない場合や副作用がひどい場合は別の漢方薬に切り替えていく必要があります。

ICI治療

ICI治療とは、「プロスタグランジンE1」と呼ばれる血管を広げる作用のある薬を、陰茎に直接注射する治療方法です。主にED治療薬が使用できない方や効果がない方に行われる治療方法で、性行為前に自分で陰茎に注射をします。陰茎の血管が強く広がるため、性行為に十分な勃起を実現する効果が期待できます。

国内での研究では、ICI治療を行った方の77％がED改善効果を感じています。一方で、陰茎の痛み、勃起が4時間以上続く「勃起持続症」などの副作用が現れやすいのが問題です。

陰圧式勃起補助具

陰圧式勃起補助具とは、陰茎に陰圧をかけて陰茎内に血液を充満させて、根元にゴムバンドを巻いて血液を停留させるという治療方法です。強制的に陰茎内に血液を充満させて閉じ込めることで、勃起を促すという原始的な治療方法で、90％の方が勃起に至るとのデータがあります。しかし、生理的な勃起ではないため、満足度は低いとの声もあがっています。

治療には陰圧式勃起補助具と呼ばれる特殊な機器は必要ですが、自身で購入することが可能で、値段は3万円前後です。うまく使いこなすにはある程度の練習も必要とされますが、一度購入すれば長く使用できるため経済的な治療ともいえます。

ED治療の費用相場

このように、ED治療には多くの選択肢があります。費用は医療機関によって異なりますが、大まかな相場は次の通りです。ED治療薬の値段も気になると思いますので、参考にしてください。

ED治療薬を使用する場合の価格相場

ED治療薬は種類や用量によって価格が異なります。それぞれのED治療薬の一般的な値段相場は次の通りです。

※レビトラ、シアリスのジェネリックについて国内で承認されているものはありません

ED治療薬は保険適用される？

2022年4月から不妊治療の保険適用が始まり、不妊治療という目的に限りますが、バイアグラ錠、バイアグラODフィルム、シアリス錠の処方に保険が適用されるようになりました。その他のED治療薬については、不妊治療目的であっても、保険は適用されませんので注意が必要です。

不妊治療目的であると判断されるのは、以下の7つの要件を満たす場合と厚生労働省は定めています。

1. 処方を行う医師は、泌尿器科で5年以上の経験が必要です。特別な理由がある場合は、「一般不妊治療管理料に係る施設」の届出を行っている保険医療機関に限り、処方することができる。
2. 他の医療機関で不妊症診療が行われている患者に対し、紹介を受けて処方する場合は、紹介元の医療機関と連携し、必要な情報を共有しなければならない。
3. ED治療薬を処方できる患者は、EDガイドラインに従い、勃起不全と診断された者に限る。
4. 処方される患者、そのパートナーのどちらかが、投与日から6か月以内に、「一般不妊治療管理料」または「生殖補助医療管理料」の保険診療を受診しているかどうか。
5. 1回の診療で処方できる数は、タイミング法における1周期分、かつ、4錠以下である。
6. 繰り返して処方する場合は、処方の継続期間は6か月間が目安です。6か月を超えてる場合は、継続の必要性を改めて検討すし、原則として初回投与から1年以内におさまるようにすること。
7. 保険診療において処方する場合、処方箋の備考欄に、保険診療と記載が必要。

一般的な治療法であるED治療薬の特徴比較

先にも述べた通り、現在日本で認可されているED治療薬は3種類あります。基本的な作用の仕組みは同じですが、それぞれの特徴や効果は次の通りです。

バイアグラ

日本では1999年に製造・販売が開始された世界初のED治療薬です。元々は高血圧の治療薬として開発を進められた薬ですが、研究の段階で服用者の中からEDが改善したとの声が多く上がったため、ED治療薬として生まれ変わりました。

有効成分は「シルデナフィル」で、即効性の高さと勃起の硬さに定評があります。しかし、服用前の食事の影響を受けやすい点がデメリットです。より高い効果を得るには服用のタイミングも重要になります。

日本ではシルデナフィルを25mg、50mg含む錠剤のみで販売されていましたが、2016年には水なしでサッと服用できるフィルム状の「バイアグラOD」の販売も開始されました。

レビトラ

レビトラは、バイアグラの次に開発されたED治療薬です。バイアグラの弱点の一つである食事の影響を軽減し、勃起の硬さと持続性、即効性がバイアグラよりも高いとして根強い人気があります。

しかしながら、ED改善効果は高いものの、服用者の約半数に頭痛やほてり、鼻づまりなどの副作用が現れるとの意見が多いです。中には副作用が気になって性行為に集中できないという方もいました。より快適な性行為を実現するにはレビトラの副作用への対策も必要になります。

シアリス

シアリスは、陰茎の血管を広げて勃起を促すという作用メカニズム自体はほかの治療薬と共通しているものの、持続性が非常に長いという点が従来のED治療薬と大きく異なります。

シアリスの効果持続時間は24時間から36時間とされており、服用のタイミングを気にする必要がありません。マイルドな効き目でより自然に近い勃起を促すため副作用は少なく、現在では最もシェアの大きいED治療薬となっています。

ED治療をせず、自力で治すことは可能か？

EDは若い世代でも発症する可能性があります。誰にも打ち明けられずに悩んでいる方も多いことでしょう。EDは緊張、疲れ、性欲減退などの精神的な不調が原因のこともあれば、動脈硬化や糖尿病など器質的な病気が原因のこともあります。EDを改善するには第一にどのような原因でEDになっているのか知ることが大切です。

現在では、EDを改善に導くさまざまなセルフケア方法などが出回っています。しかし、それらの多くの方法は医学的根拠のない信憑性の低いものです。誤ったケアを続けていると適切な治療の機会を逃してしまうだけでなく、症状を悪化させてしまうことも少なくありません。

心身の状態が優れないときなど、十分な勃起ができずに性行為を中断した経験は多くの方があります。何度かこのようなことが続いても、EDの可能性は低いです。しかし、十分な勃起をできない状態が続くときは専門クリニックに相談してみましょう。

ED治療はまずED治療薬がオススメ！お気軽にご相談ください

EDは性生活を営む男性にとって治療が必要な病気の一つです。ED治療は今回ご紹介した通り多くの種類がありますが、まずはED治療薬による薬物療法がオススメです。

ED治療薬は副作用も起こりやすく、普段飲んでいる薬の種類によっては使用できないケースもあります。安全な治療を行うためにも、ED治療薬はED治療に長けた専門クリニックを受診した処方してもらうのが大切なポイントです。

近年では、インターネットなどを通じて海外製の安価なED治療薬を入手することもできますが、偽物が多いだけでなく、健康に害を及ぼす成分が含まれている粗悪品も出回っています。ED治療薬は必ず医師から処方された正規品を使用するようにしましょう。

＜参考記事＞

日本泌尿器科学会　「ED診療ガイドライン【第3版】」

https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/26_ed_v3.pdf

ファイザー株式会社「バイアグラ　添付文書」

https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066489.pdf

バイエル薬品株式会社「レビトラ　添付文書」

https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00053147.pdf

日本新薬株式会社「シアリス　添付文書」

https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00053585.pdf