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それ、EDの初期症状かも?早期治療のために知っておきたいEDの症状

  • 2023年4月26日
  • ED
ED

EDの症状の表れ方は人それぞれであり、とくに発症初期のころは目立った症状が表れにくいのが特徴です。そのため、ED発症の自覚がないまま病状が進行しているケースも少なくありません。

EDの治療はできるだけ早く開始することが大切といえ、治療のためにまずはEDを疑うことからはじめる必要があります。そこで今回は、EDの初期症状について詳しく解説します。

EDの初期症状として考えられるもの

EDとは「勃起不全」のことであり、満足な性行為に必要な勃起が起こらない病気です。しかし、症状の表れ方や重症度は人によって違う点は把握しておきましょう。ここでは、EDの初期症状として表れやすいものを4つご紹介します。

硬さ不足

満足な性行為をするには、十分な硬さのある勃起が必要です。勃起は陰茎の血管が広がり、陰茎に流れる血流が増えることによって引き起こされます。陰茎には「海綿体」と呼ばれるスポンジのような組織が存在し、そこに血液が充満すると陰茎の容積が増えて硬く勃起するのです。

膣内への挿入には、十分な硬さの勃起が必要になります。勃起時に陰茎の固さが足りないと、ピストン運動ができなくなったり、挿入すら困難になったりすることも少なくありません。このような硬さの不足は、EDの最も特徴的な症状のひとつと言ってよいでしょう。

持続力の低下

十分な硬さに勃起したとしても、射精して性行為が終わるまでその力が続かなければ、満足な性行為はできません。挿入前には十分な硬さに勃起していても、射精前に勃起が終了してしまう「中折れ」に悩む人は多く、勃起時の持続力低下も、EDの特徴的な症状です。

勃起して挿入まで踏み切れるものの、「最後まで勃起が続かないとどうしよう…」という緊張感やプレッシャーは精神的なEDを引き起こし、挿入中に十分な硬さを維持できない原因のひとつです。

満足度低下

性行為自体の満足度の低下も、EDの症状として見られることがあります。理由としては、勃起の硬さや、持続力が完全でない状態でも性行為はできるためです。膣内への挿入に耐えられる硬さがあり、挿入後短時間で射精すれば持続力が低下していても問題ありません。

このため、中にはEDを発症していることに気づかず、性行為の満足度が下がったと感じている人も多いのです。このパターンは女性から「自分勝手な性行為をしている」と、思われるケースも多いので注意しましょう。

自信の揺らぎ

日本でEDに悩む男性は多く、4人に1人とされています。しかし、EDで悩んでいる男性すべてが完全に性行為ができなくなるわけではありません。EDになっている男性の多くは硬さや持続力が低下しながらも、男性側も女性側も十分に満足できない性行為をしているのです。

また、常にEDになるのではなく、時々硬さや持続力が低下するというパターンも見られます。男性は非常にデリケートな生き物ですから、疲れやストレスを感じると十分な勃起ができなくなることも少なくありません。

時々EDとなるということだと、あまり気にしない人も多いのですが、このような現象はEDが進行しているサインの可能性があります。最初はそこまで大きな問題ではありませんが、頻度が増すようであれば要注意です。

これもEDの症状?EDの軽度・中度・重度はどのように決まるのか?

EDの程度や症状の表れ方は人それぞれです。EDといえば勃起できず性行為が不可能と、思われがちですが実際は違います。軽度な場合や初期症状は、勃起や持続力が少し低下する程度であるため、満足感が薄れながらも性行為を続けている人も少なくありません。

軽度なEDは、自分自身でも気づかないことが多く、症状がどんどん悪化していくこともあります。軽度なうちや初期症状が表れた時点で、EDの改善を目指して適切な対策を続けることが大切です。自分自身のEDの程度を知るための方法をご紹介しますので、まずはチェックしてみましょう。

気になったらEDのセルフチェックがオススメ

EDの重症度をチェックするために広く用いられているのが、「国際勃起機能スコア(IIEFー5)」と呼ばれるスコアです。このスコアでは5つの質問に答え、それぞれ定められた点数を合計し、その合計点によって勃起の程度を評価します。その精度は国際的にも評価されており、国内でもED治療を行う医療機関の問診項目として活用されています。

国際勃起機能スコア(IIEFー5)とは?

以下のような質問に対し、主観的な答えを5つから6つの選択肢の中から選んで、それぞれの点数を合計します。まずは自分のスコアをチェックしてみましょう。合計点数が21点以下の場合は、EDが疑われます。

勃起してそれを維持する自信は
どの程度ありましたか?
・非常に低い:1点
・低い:2点
・中くらい:3点
・高い:4点
・非常に高い:5点
性的刺激によって勃起したとき、
どれくらいの頻度で
挿入可能な硬さになりましたか?
・性的刺激はなかった:0点
・ほどんと又は全くならなかった:1点
・たまに(半分よりかなり低い頻度):2点
・時々なった(ほぼ半分の頻度):3点
・しばしばなった(半分よりかなり高い頻度):4点
・ほぼいつも又はいつもなった:5点
性交の際、
挿入後にどれくらいの頻度で
勃起を維持できましたか?
・性交を試みなかった:0点
・ほとんど又は全く維持できなかった:1点
・たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度):2点
・時々できた(ほぼ半分の頻度):3点
・しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度):4点
・ほぼいつも又はいつも期待できた:5点
性交の際、
性交を終了するまで勃起を維持するのは
どれくらい困難でしたか?
・性交を試みなかった:0点
・極めて困難だった:1点
・非常に困難だった:2点
・困難だった:3点
・やや困難だった:4点
・困難でなかった:5点
性交を試みたとき、
どれくらいの頻度で
性交に満足できましたか?
・性交を試みなかった:0点
・ほとんど又は全く満足できなかった:1点
・たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度):2点
・時々満足できた(ほぼ半分の頻度):3点
・しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度):4点
・ほぼいつも又はいつも満足できた:5点

日本語版EHSとは?

勃起の硬さを示す指標として広く用いられているのが、「EHS(Erection Hardness Score)」です。欧米では以前から広く用いられてきましたが、2009年に「日本語版」が開発されました。現在では多くの医療機関で取り入れられていて、信頼できる指針になっています。

EHSでは、勃起したときの陰茎の硬さを4つのグレードに分けて評価するのが特徴です。具体的には、次のように勃起時の硬さを分けます。

 グレード1:陰茎は大きくなるが硬くならない(こんにゃくの硬さ)

 グレード2:陰茎は固いが、挿入に十分なほどではない(みかんの硬さ)

 グレード3:陰茎は挿入には十分硬いが、完全に硬くはない(グレープフルーツの硬さ)

 グレード4:陰茎は完全に硬く、硬直している(リンゴの硬さ)

このように、EDの可能性や重症度を判断するために指標は多く存在します。自分自身で評価ができますので、勃起の不調や性行為に対する満足度などに変化が見られた場合、まずこれらの指標をチェックしてみましょう。

*参考 EDセルフチェックはこちらから

EDの症状が出たらどうすればいい?対処法は?

思いがけずEDの症状が出たらどうすればいいか迷いますが、現在ではED治療薬も販売されています。それらの薬を使用して、EDを克服するのもよいでしょう。しかし、EDは原因となる生活習慣や病気を改善することも大切です。ここでは、EDの症状が出たときに行うべき対処法のポイントを3つご紹介します。

ストレスや疲れをためない

EDの原因として多いのが、精神的なものです。男性の身体は非常にデリケートであり、ストレスや疲れがたまると、心理的なEDに陥ることも少なくありません。とくに心理的なEDは、若い世代に多いとされています。

身体に何の異常もないのに、EDの症状が出る場合は、睡眠や休養をしっかりとって、ストレスや疲れを溜めないようにするのが大切です。ストレスや疲れは自分では気づいていないケースも多いため、EDの初期症状に当てはまる際は休養を意識しましょう。

原因となる病気の治療

勃起は、陰茎の血管が広がることによって、陰茎が硬くなる状態が引き起こされる現象です。動脈硬化や糖尿病など血管・神経に異常を来す病気があると、EDになってしまうことも少なくありません。EDの原因となりうる病気がある場合は、それらに対する適切な治療を続けるようにしましょう。

ED治療薬の使用

1999年に国内での販売が開始された、世界初のED治療薬バイアグラをはじめ、現在ではレビトラ、シアリスなどのED治療薬が販売されています。これらのED治療薬は、血管を拡張させることで勃起を促す作用を持ちます。

効果の表れ方には個人差がありますが、EDに悩んだときは自分に合ったED治療薬を使用するのもひとつの方法です。注意点として、ED治療薬は使用量・用法を守らなければ、体調不良の原因になります。

注意!EDの症状には恐ろしい病が隠れている可能性も

EDは、以下のような病気の症状として、表れることがあります。EDは単に性行為に影響があるのに加えて、背後に恐ろしい病気が隠れている場合も少なくありません。思い当たる病気がある場合、できるだけ早めに病院を受診して検査・治療を受けるようにしましょう。

心血管疾患

EDの原因として、非常に多いのが動脈硬化です。動脈硬化とは、血管の壁が傷ついてそこに脂質などが沈着することで、血管の弾力性が失われ硬く細くなる病気です。主な原因は高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病が挙げられます。弾力性を失った血管は広がりにくくなるため、性交時に陰茎の血管がうまく開かずにEDを引き起こすと考えられています。

生活習慣病

生活習慣病には、高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満などさまざまなものがあります。生活習慣病は、EDだけでなく他の大きな病気の原因にもなるため、注意が必要です。

糖尿病

糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、上でも述べたように動脈硬化を引き起こし、EDの原因となります。また、糖尿病は進行すると末梢神経にもダメージを与えるため、勃起に必要な陰茎周辺の神経の働きも弱まるため、勃起しにくい状態となります。

慢性腎臓病

慢性的な腎臓病の多くは、自覚症状がありません。しかし、腎臓の機能が低下すると、体内の水分が十分に排泄されないようになります。血圧が上がることで動脈硬化を引き起こし、EDを発症することも少なくありません。

神経疾患

勃起には神経の働きが不可欠であるため、神経にダメージが生じるような病気ではEDが引き起こされることもあります。具体的には、脳卒中・椎間板ヘルニア・ニューロパチーなどの病気が挙げられます。このような神経の異常が原因のEDは、治療が難しくなります。神経疾患が原因のEDは、できるだけ早い対処が必要となります。

EDの初期症状はサイン?もし不安を覚えたらすぐにクリニックへ相談!

EDの初期症状は、はっきりとわからないことも多いです。なんとなく違和感を感じていたり、満足度の低下を感じたりしながら、過ごしている人も多いことでしょう。

しかし、EDは正しい対処を進めていかないと、症状が進行して治療が難しくなることがあります。また、恐ろしい病気の症状として、EDになっていることも考えられ、合併症などを起こさないために早めの対処が必要です。自分自身でEDの可能性をセルフチェックして、問題がある場合はすぐにクリニックに相談しましょう。

参考URL

ED-info.net「EDのセルフチェック」

https://www.edーinfo.net/check/iief5/index.html

日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン 第3版」

https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/26_ed_v3.pdf